はじめましての彼氏くん
私は高校も大学も、両親に彼を紹介したことがなかった。
だから娘が彼を家に泊めたり、ご飯を一緒に食べたりするということは、たとえ彼のリクエストだったとしても、断ろうと思えば断れることだった。
でも娘は、それをかなえた。彼の希望を、自分の意思で受け入れた。
私はそれを、そっと見守った。
彼の実家は今海外にあり、家はドイツ。東京で数日過ごすなら、うちのほうが快適という事情もあったし、娘が彼の家でお世話になったこともある。
たまたま私は旅行に出ていて、すき焼きの日と最後の数時間しか一緒にいられなかったけれど、本当に楽しい時間だった。
ぽっかり空いた部屋。
みんなのZOOM部屋兼マッサージ室になっている長男の部屋に、男の子がいる。
なんだか長男が帰ってきたみたいで、ぎゅっと胸が締め付けられるほどだった。
彼氏くんは、とても律儀でかわいい。お土産もプレゼントもたくさん。こんなに気を使わなくてもいいのに。
「かわいい」と書くと少し誤解されるかもしれないけれど、うちには同世代で同性の子が2人いる。だからこれは、母としての愛情の意味での可愛さ。
また来てね、と伝えてお別れした。深い話はできなかった。でも、それでよかった。
成長した娘を、誇らしく思う。
私は彼を家に泊めるなんて、恥ずかしくてとてもできなかった。それができるというのは、素敵なことだと思う。
次男くんは、雨のなかディズニーへ行ったりして、2人きりになれるように配慮していたらしい(笑)
なんだか、みんな大人になった。
生涯の伴侶になるとは思っていない。でもそれでもいい。
楽しい時間だった。ちょっとしたご褒美のような数日。
子どもたちは、いつのまにか私の想像を超えていく。
そして私は、また日常に戻る。
