インフレと金利上昇──日本の土地価格はどう動いたのか?
大前提として、私は経済の専門家ではありません。ただ、金利と不動産は密接な関係にあると感じています。
2013年、黒田総裁による「異次元の金融緩和」から始まり、2025年の今──15年の歳月を経て、日銀は徐々に金融引き締めへと舵を切り始めました。植田総裁のもと、マイナス金利は終了し、金利はじわじわと上がりつつあります。
物価が本格的に上がっていないとされる中でも、金利は上昇傾向にあります。これに対し、アメリカをはじめとする海外諸国はすでに大幅な利上げを実施しており、金利差が拡大 → 円安という構図が定着しています。
2025年7月時点で、10年国債の利回りは1.576%。住宅ローン・アパートローンの金利も確実に上昇しています。しかし物件価格も依然として高止まり。金利上昇 × 物価上昇という状況の中、日本の実質金利は依然マイナス圏とも言われています。
このままでは「日本人が家を買えなくなる時代」が本格的に来るのでは?という不安がよぎります。現に、近隣諸国と比較しても、日本の不動産取得環境は悪化傾向にあります。現金一括でネットから高級物件を購入する外国人も少なくないという話も聞きます。
私は以前、金利が上がれば土地価格は下がると考えていました。しかし、過去のデータを紐解くと、そう単純ではないことが分かります。
歴史に学ぶ:金利と土地価格の意外な関係
時期 | 状況 | 金利 | インフレ | 土地価格 | 補足 |
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1970年代(オイルショック) | 高度成長後のインフレ | 8〜9% | 10〜20% | 上昇 | 土地は実物資産として人気 |
1986〜1990年(バブル期) | 好景気+金融緩和 | 2.5〜3.5% | 緩やかな上昇 | 急騰 | 緩和→加熱→崩壊へ |
1991〜2010年(デフレ期) | バブル崩壊後の低成長 | 0%近辺 | マイナス〜0% | 下落 | 20年に渡る地価下落 |
2022〜現在 | 世界的インフレと円安 | 日本は0〜1% | 上昇傾向 | 上昇(都市部) | 外資・再開発・相続需要 |
では、これからどうなるのか?
もちろん未来のことは誰にも分かりません。けれど、過去を知ることで見えてくることはあります。
- 金利が上がっても、都市部は「価値のある土地」として上昇することがある
- 一方で、需要の少ない地方では、金利に関係なく地価は下がりやすい
- リーマンショック時のような「買える人が勝つ」局面がまた来る可能性もある
この先、土地や物件価格はどうなるのか?
どの選択が正解なのか?
それはきっと、「今、自分に何ができるか」次第なのかもしれません。